ごあいさつ


aisatsu
その昔、日本という国は世界中から憧れられた「美」の国でした。飛鳥、奈良、平安の古から始まり、室町、安土、桃山、元禄文化。何百年という時間をかけて日本人が築き、繁栄させてきたこれらの文化は、海外の芸術家たちに羨望のまなざしで見つめられていました。

皆さんご存知のように、葛飾北斎や安藤広重の浮世絵は、ゴッホ、ゴーギャンらに多大な影響を与えました。チャップリンやエジソンも、みんな日本に憧れてやって来た。日本の「美意識」は、それくらいすごいものでした。

だから昔の日本人の暮らしには、たとえ貧しくても身近に「美」があったのです。

今、世の中を支配しているものは、「数字」。質が悪かろうがただ売れれば良い、すべてが機能性、利便性、経済効果本位…。あらゆるものの装飾はカットされ、シンプルさばかりが追求され、粗悪な娯楽や音楽に毒され、礼儀は忘れられ、欲望だけが渦まいている。

そんな現実の中で、穏やかな心と生活を手に入れたいのであれば、「美しく生きる」方法を考えるべきだと私は思っております。生活を美で彩り、心を美で満たす。日本の文化、芸能、芸術、音楽。

美が身近にあれば、使う言葉も立ち居振る舞いも自然に美しくなり、人にも思いやりが持てるようになる。古きよき時代が持っていた揺るぎない日本人の「美意識」こそ、荒廃した現代を平和にし、生活に潤おいをもたらすと信じております。

日本舞踊 吾妻流 師範
吾妻 聖香